試合に出る方、少年選手の保護者の皆様の心構え

極真空手には直接打撃制の試合があり勝敗が生じます。   しかし、勝ち続けるのは特定の才能とチャンスも必要です。ところが、自分に挑戦し続けることはいつでも何処ででも、そして誰でもが可能なことであり、自分に甘えず自らの責任において大地に立つ(自立)ということですから、特定の才能を必要としません。どう勝つかではなく、どう生きるのか。稽古をそれの実践の中で、自分としての生きる道を見出すこと。そこが空手道・・・いや、武道が道であることのヒントです。   強さとは、まず自分の弱さを認めることでわかります。 人は大抵都合のいいように生き、楽をすることに終始しがちです。   強くなるためにはまず本当の自分を知り、自分の逃げを断ち切るのが大切になります。 稽古をする中で、自分のキャラクターと生きて行くことによってついた癖、その人の資質などが明らかになります。 この時、自分の考えや意志できまりを作り実行することが「修行」です。 しかし、自分だけの独りよがりな考えで行おうとすればまた振出しに戻り、目標達成の確率は下がっていきます。 まわりの状況や時を選び適切な方法でこれを行う。稽古を通じて、周囲との関係を丁寧に築くことがわかります。 自分と向き合い、それを継続することで人としての「力」がついてきます。ところが、力がついたからと言って出来ることばかりをやっていては進歩がないばかりか、人としてむしろ弱くなります。 そこで対象を自分の出来ないことに変えていくために、困難や理不尽なことに挑戦することになります。これが試合の存在理由の一つなのです。自分が成長できた、あるいはできるのは欠点があるからであり、適度な欠点があることは、大切なのです。   それを理解し、汗を流す仲間だから絆が深いのです。   追記「保護者の皆様へ」   試合会場で負けた子供を叩いたりなじったりする親を見ます。   悪質なズルをしたり、人の道を外れたりしたら厳しい指導も必要です。 ただ試合の意義がわかれば一生懸命全力で取り組んでいるかが大事ということがわかります。もし年長者の方がいらしたら上からの物言いで大変申し訳ありませんが、子供に厳しい稽古を通じて自己成長を目標とする武道を習わせるならば、親も武道家の親として 一緒に成長していく覚悟が必要なのです。 勝ち負けでブレたりせずお子様の小さな成長を見つける目を養うのが武道家の親としての修業の一つです。   私も先生として日々成長させていただいていて、道場生のおかげで成長ができます。   だから感謝しています。   佐野忠輝