佐野先生 独占ロングインタビュー3

指導者としての一面 ――ご自分に厳しいのが良くわかりましたが、道場生にもやはり厳しいのですか? 「(笑)確かにこのインタビューを見た方は入会するのをためらってしまうような部分があったかもしれませんね。でもその心配はゼロですよ。表向きには色々な空手との携わり方があってみんながみんな選手ではない。健康のためにやる空手だって立派に市民権があるし、目的もなくただ汗を流すのではなく『この技が上手くなりたい。』『昇級したい。』などの目的はきっとハリを作るでしょう。そして達成できた時は表せないくらいの喜び・充実感がありますよ。」 ――でも中には強くなりたくて厳しくして下さい!なんて人もいませんか? 「するどい!先ほど表向きと言ったのを聞いていましたね。」 ――やはり!地獄のしごきがあるんですね!! 「いや、その反対です。子育てでもまだ小さいうちのわけわからない頃は親が「ありがとう・ごめんなさい」なんかを代わりに言ってあげたり、『ほらありがとうでしょ!』とか言わせたりするけど、大きくなって(空手でいえば上級者?)からこれでは独り立ちができませんよね。早い話が一人前のファイターは強制されたハードな稽古では駄目なんですよ。まるで「強くしてください!」って甘えているみたい。今はお金を払えば旅行のプランを立ててもらえたり、そうじをしてもらえたり便利な世の中ですがやっぱり強くなるとなると話が違うようです。中級者になるくらいまでは手取り足取り教えることもありますが、上級者のしかも選手を目指す人間は御用聞きに徹するよう心がけています。」 ――なるほど。究極の意味では最も厳しい先生なんですね。でもそういう教え方で強い選手がたくさん出ていますよね。 「ある意味放任かもしれませんが、空手をやめるその日まで見守る気持ちがないとこれはできませんよ。スランプの時は的確なアドバイスが出来るようにしていますが、その生徒主導で一緒に悩むことも多々ありますよ。でも一緒になってがんばってクリアするまでのプロセスを共有できるのが幸せですね。」 ――それは素晴らしい。生徒さんも佐野先生みたいな方と稽古できて幸せでしょうね。そういえばここは空手道場と言うイメージからするとアットホームであまり怖いと言う感じのしない道場ですが皆さんとても礼儀正しいですね。何か特別な指導をされているんでしょうか? 「健康目的でも選手でも自分の目的に向かって、その人なりの自分の厳しさを持ってやっているとたとえ甘い環境でもそうなっていくみたいですね。例えば返事や挨拶や後始末、例えば玄関の靴が乱れているのを直さないのは『わかっているのにやらない。』つまり逃げなんですよ。各々のスキルによりけりですが中途半端な稽古をする人間はやはりこのような日常も中途半端になる。でも周りのみんながそれぞれのできる範囲でがんばっている。するといつの間にか自分も頑張ってしまう。先輩達のアドバイスの力も大きいですがこういう人間としての強さが態度に表れているのではないでしょうか。」 これから空手をやる人へのメッセージ ――最後にこれから空手をやろうとする人をはじめこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。 「日常に潜む稽古を見つけて稽古を進めておいてください。めんどくさい事、やりたくないけどやらなきゃならない事、克服したい事。そんな事と対峙したらどうか今できる範囲で戦ってください。 でも一人では限界もあるでしょう。そんな時は道場に来てください!我々があなたの味方になれるかもしれません。ただ先に申し上げた通り、便利屋や悩み相談ではありません。大変だけどみんながんばってる!一人じゃない!と気づいて勇気をだし自分で頑張るお手伝いができるかもしれないと言う意味です。」

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プロフィール

さのただてる

1971年7月7日東京都生まれ。18歳で極真会館京都支部に入門し、空手人生がスタートする。その後、引越しで城西世田谷東支部に移籍しさらに、京都時代から指導員をしていたものの1999年正式に道場職員となる。以来、全日本大会・世界大会・海外や国内の地方大会にて数々の名勝負を演じ、多くのファンを魅了する。また三児のパパでもあり子煩悩な一面もみせる。アラフォーな現在も現役選手として活躍し空手指導に子育てに地域活動に、そして一人のファイターとして多忙を極めるが、趣味のつりを思う存分できる日を夢見ている。

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