西東京市田無町にある極真空手の道場です

全日本大会直前、田無道場出場選手ロングインタビュー

佐野先生に加え小川泰治初段と鈴木睦男1級が新たに加わり、なんと3人の選手が全日本大会に出場する事になった.

にわかに活気立ってきた田無道場。

十数年前、世界大会を終えた佐野先生がやって来た時小川泰治は小学4年、鈴木睦男は黄帯の荒くれ者だった。

全日本大会など夢のまた夢と、観客席から眺めていた。

あれから時は流れその舞台にあと2ヶ月で立つことになった!

今回はノリにノってるこの二人に水曜日の稽古後のひと時にインタビューをお願いした。

1、全日本出場決定

―稽古お疲れ様でした。さてこの度は全日本大会出場おめでとうございます!

ふたり:ありがとうございます。

―出場が決まったときの気持ちはいかがでしたか?

小川泰治(以下、た):自分みたいな選手が出ていいのか、恐れ多い気持ちになりましたが今は、先生方の期待に応えられるように稽古しようと思います。

(指導中の佐野先生から『あんまりカッコつけんな!』と一言入る。)

鈴木睦男(以下、す):憧れだった全日本に出ることが出来るなんて、まだ信じられない気持ちです。

―鈴木選手はウェイト制では素晴らしい試合をしましたが、その時に自分自身のレベルアップを感じましたか?

す:ウェイト制までは調子がよいと思っていたのですが、実際にどの程度できるのかという不安がありました。技ありをとられて負けてはしまいましたが、確実に昔より強くなっているんだな、という気がしました。

小川選手は、試合に出場するたびに熱い試合で会場を感動に包みますが、戦っている本人はどのような心境なのでしょうか。

た:応援していただいている皆さんの期待に応えたいと思っていつも試合をしています。

基本的に自分は気弱なので、試合前はビビってばかりですが会場に立つと応援などの力で、自分が変わってしまうような感覚があります。

―自分が変わってしまうような感覚とは、具体的にどうような感覚なのですか?

た:自分で言うのはなんですが、普段はキレたりしない温厚な性格だと思っています。

ただ、試合になるとなんというか、キレるというか・・例えば顔面殴打を受けた時にはあ相手を睨み付けてしまうような凶暴な一面もあります。

―確かに普段はお二人とも温厚な方ですよね。そのギャップが爆発力の秘訣なんでしょうか?

す:どうなんでしょう、でも確かに試合では無茶苦茶やってやろうみたいな気持ちで練習している部分もありますが。それが出ているようであれば嬉しいですね。

た:ギャップは私生活でも意識しているので、そう言っていただけると嬉しいです。

―なるほど。よく強い人は優しいといいますが、確かにそういうことなのかもしれないですね。







(こんな祝勝会がしたいです)





2、空手との出会い

―お二人の空手との出会いについて聞かせてください。

た:小学一年生の時に伝統派の空手を半ば無理やりに一年間やらされていました。その後転校などもあり、空手から離れていたのですが小学4年生の時に近くにあった空手道場に見学に行き、その魅力に取り憑かれ直ぐ入門を決めました。それが田無道場です。

―なるほど、そういえば小林友稀初段もその時の事を語っていましたね。確かその時彼はオレンジ帯で、まだ小さい二人がその時出会っていたんですね。半ば強引にとありましたが、格闘技に対する思いというのは、その時あったんですか?

た:いいえ、全くありませんでした。

す:え、そうだったの?

た:家でおもちゃで遊ぶ方が好きでした。

―では、空手との出会いが人生を変えてしまったといっても過言ではないですね。一方、鈴木選手の空手との出会いは?

す:自衛隊の時、上官に格闘技が好きであることはいつも言っていてその上官がちょうど極真をやっていて勧められました。

―実際やってみてどうでしたか?

す:自分は極真をやる前にも別の格闘技をやっていたので、ある程度はできるだろうと思っていたのですが、全く動けなくて泣けてきた覚えがあります(笑)

た:睦男選手って涙流す人種だったんですか?センチメンタルですね。信じられません。

す:俺にだって時にはそういう夜もある。

―長い付き合いでもお互い知らないところがあるものですね。

(がんばれ鈴木選手!)













3、修行また修行・・・

―このインタビューが記事になって、読む方が知りたいところだとおもうんですが、仕事や勉強との両立は大変ですか?全日本にでるまでは並の努力じゃなかったと思うのですが?

す:自分は仕事と練習をやらないといけなかったので、、、仕事でも当然残業はあり、なかなか時間はとれない時期もありました。当然、道場だけでは練習時間が足りなくなってしまうので、空手以外の趣味で空手につながるような運動をするようにしていました。

―それはどんなことでしょうか。

す:まずは自転車です。三軒茶屋に練習にいくときに、電車ではなく、なるべく自転車で行くようにしています。ただ自転車は練習という感じではなくて、三軒茶屋に練習に行くご褒美として乗っていたのでつらいということはなかったです。それが継続できた秘訣であったと思います。

―なんと!三軒茶屋道場までの20kmの距離を!人によっては罰ゲームの人もいると思います。体力だけでなくメンタルも鍛えられそうだけど鈴木選手にとってはそういうものではなかったのですね。そのほかは?

す:あとは会社の仲間で月1で登山にも行っていました。これも空手以外の練習として効果があったと思います。

―なるほど。ロッキーも山頂でドラゴーと叫んでいましたしね。さておき、鍛錬を楽しんでやるというのが鈴木選手の強さの秘密ですね。小川選手は学業との両立は大変ではなかったですか?今の中高生の道場生は受験や定期テストなどに追われてなかなか継続して稽古時間を確保することに困っているようなのですが。。

た:自分の場合は確かに大変ではありましたが、日頃の授業に集中することを心がけてなるべく家での勉強時間を少なくするように努めていました。ただ当然定期テストの直前は空手に行ってから、深夜3時4時まで勉強したりしていました。空手をやっていることを言い訳にして勉強をおろそかにすることをしたくなかったのだと思います。こつこつ続けていたお陰で大学には推薦で入学することができ、結果的には空手に打ち込める時間は増えました。

す:がんばってたもんね。(苦笑)

―少年部のアメリカンドリームですね。少年部は小川先生を目指してがんばってもらいたいものです。それではそんな努力家のお二人が全日本レベルの大会で自分はやっていける!と実感したときがあったと思うのですが、それはどんなときですか?

す:それほどウェイト制でも勝てているわけでもないので、やっていけてるとは言えないと思うのですが、ただ、試合をして突きを受けたり蹴りを受けてもこの技なら耐えられる、受け返しができるという感じはしているので、それがもしかしたらもっと上を目指すことができるのではないかという希望になっています。

た:すばらしいですね。身体は大きいのに意外と謙虚ですね。

―小川選手に関しては少年部から一般部に変わって大人と肩を並べたことを実感できたときについても合わせて聞かせてください。

た:自分は無差別全日本については今でも自信はないですし、怖さでいっぱいです。ただ去年に城西カップで一般部の無差別の試合に出させていただいたことはすごくよい経験になっています。少年部から一般部の移り変わりについてですが、ずっと怖い存在だった蝦名先輩と組手をしていて最初はぼこぼこにされるだけだったのですが、あるときタイミングよく自分の後ろ回し蹴りが当てることができたんです。そのときはすごく嬉しかったのですが、逆にそのあとを蝦名先輩の猛反撃を受けました。でもそのことで一般部の仲間入りをしたような気持ちになったの覚えています。

す:蝦名くんと打ち合えるっていうのは一般部でもなかなかいないよね。蝦名くんとは達人クラブの同期でお互い切磋琢磨した仲間ですから、逆に自分もあのときは悔しかった。

―田無道場では蝦名選手が全日本大会に出る為の門番なんですね。

(小川泰治選手)

















4、全日本大会に向けて

―全日本大会まであと2ヶ月となりましたが、これからどんな稽古をしてどんな風に戦
いたいですか?

す:今までは自分よりも格上の選手と試合するときに玉砕するというか、力を出し切れれば負けてもいいやという気持ちで試合に臨む事がありました。もう少し次を目指すのであれば力を出し切ってその上で勝てるような組手が必要だと思っているので、全日本ではそういう試合をするようにします。練習では試合の会場でどういう選手でありたいかということを意識して2ヶ月を計画的に使っていきたいと思います。

―これは楽しみ!今からコールされて試合場に上がるのが見たくなりますね!

た:まず確実に自分より体格も大きくて、経験も格上の選手との試合になると思います。その中で自分のできることは最後まであきらめず手を出し続けて向かっていくことだと思っていますし、その中に活路があると思っています。なので今は最後まで戦いきれるだけの体力をつけること、それに付随してあきらめない気持ちが大切だと思うので日常の稽古の中でしっかり自分を限界まで追い込んでいきたいです。
―素晴らしい!お二人の熱い思いがよく伝わってきました。私もぜひ会場で応援させていただきたいと思います。
では今日は全日本大会出場のインタビューということでお二人の時間をいただきましたが、最後に今回一緒に出場される佐野先生とのマル秘エピソードがあったら教えて下さい。佐野先生は今道場生を指導中なのでばれませんし。。(アップしたらばれるけど)

た:マル秘というか先生には私生活についての相談などもいつも乗っていただいています。進路などに迷っている時に先生に話を聞いていただくとなんだかいつもスッキリして前に進めます。

―なんと!佐野先生は空手の指導だけでなく、カウンセラーでもあるんですね。そういえば先日「俺羽田空港で江原啓之さんとまちがえられたんだよ。」とおっしゃってましたが・・・。一方鈴木選手は?

す:結構前の話なのですが、帯研に行った後でメールで、自分が組手をした相手と今回はどの程度自分ができたかということを報告して、次回はどんなふうに戦おうかとアドバイスを頂いたり相談をしたりしていました。

―すごい!現代版通信教育ですね!

す:あと少し前の話ですが、自分がまだ茶帯になりたてだったころ、試合に出てもなかなか勝てない時期がありました。そのとき、ある試合の終わった後に落ち込んでいた自分に「試合の結果は残念だったけどもこれで選手生命が終わったわけではないし、やることがみえたのだから今日がはじまりである」と言っていただいたことがありました。それは自分の心によく残っています。

―あ、佐野先生が来た!(一同あたふた)

佐野:(椅子を出してくれて)ありがとう!インタビューはうまくいってる?

一同:もうバッチリです最高傑作となるでしょう。

―ではお二人はこの辺で上がっていただいて佐野先生に道場生とご一緒に全日本大会に出るお気持ちを聞かせていただきましょう。
小川選手・鈴木選手お疲れ様でした、全日本大会で大暴れしてください!(道場中から拍手。)

5、佐野先生インタビュー

佐野(以下さ):私も呼んでいただきありがとうございます。まあ自分本位な言い方をしてみれば私の11年来の夢がついにかなったということになります。

―その夢とは?

さ:ここに始めてやって来て、この中の誰かと一緒に全日本の同じトーナメントに出られたらいいなというものでした。

―たしかにすべての指導者の夢でしょうね。

さ:当時はまだ三茶所属の助っ人指導員だったので「育てる」という考えは希薄でしたが、分支部長になって強い思いとなりました。支部の活動理念である「道場生を増やして会館に貢献する・強い選手を育てる・活動によって得た利益は道場生や地域に還元する」ということを様々な捉え方はあると思いますが、全日本で活躍できる選手を育てる事がこの理念とマッチしていると思っています。

―利益・・・ですか?

さ:例えば利益といっても金品ではなく選手の技術でもあると思います。その選手が素晴らしい試合を見せてくれて少年部に夢を与えてそして自分の街にはこんなすごい選手がいるんだと地域の方も喜んでいただければと、いささか独りよがりではありますが日々願っています。

―なるほど道場だけでなく地域も盛り上がりそうですね。

さ:そして彼らの尊い努力、不屈の精神はもちろんですが全道場生が日々健やかに稽古し空手を通しての活動を行っている・・・いわば道場生一人一人の結晶なのです。もうこれは道場生やそのご家族にひたすら感謝しかありません。

―大会を通した活動が様々なうれしい事を生み出す・・・と言うわけですね。

さ:きっとこのインタビューが世に出る頃にはトーナメントが発表になっているはずですが、全日本大会はどこのブロックに入っても強豪と対戦する厳しい大会です。特に初出場だといきなり・・・もあります。でもそれを脅威と感じつつも強い選手と対戦する高揚した気持ちを味わいのびのびと闘って欲しいと思います。

―佐野先生は少し昔の話になると思いますが、初出場などで強豪と戦うのは怖くないのですか?

さ:そりゃ怖いですよ。でも極真をやるからには勝てるとわかっている試合、折れるとわかっているバットの試割りには挑戦したくないですね。自分の弱さを知りたい気持ちと強豪にどこまで通用するか知りたい気持ちが、どうしても恐怖心を上回ってしまうんでしょうねえ。

―なるほどチケット買って応援に行くのはそういう葛藤を感じながら試合を見て、単に技術だけでなくメンタルを学ぶのには最高の機会ですね。確かに全日本大会や世界大会を見に行った事がある人とない人には一般部も少年部にも差があるように思えます。

さ:だからと言って無理強いは出来ませんが可能であれば色々な選手の戦いを「生で見る」と言う経験を積む事によって多くを得てもらえたらいいなとは思っています。

―それではインタビューをありがとうございました。素晴らしい戦いを宜しくお願い致します。

ありがとうございました!全力をつくします。